滑舌の悪さは治るの?①
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「かえる」が「たえる」に聞こえるなど、滑舌についてのお悩みを聞くことがあります。何か手だてはあるのでしょうか。言語聴覚士がお答えします。 | |
滑舌の練習ではなく土台に目を向けた対応を 子どもの滑舌が悪いというのは、どんな状態をいうのでしょう。子どもの年齢や発達段階にもよりますが、「カ行」が「タ行」に聞こえる、「ラ行」が言いにくいなどで、音がクリアではなく、聞き取りづらい状態を指します。 要因はさまざまで、口唇口蓋裂や難聴などの身体機能、体の未発達、音韻意識の未発達などが挙げられます。また、滑舌は発達の個人差が大きいことも要因のひとつです。 子どもの滑舌が気になるとき、指摘して言い直させるなどの対応は避けます。保育者は滑舌の練習を試みるより、体全体や音韻意識などに目を向けて、保育のなかで滑舌の土台を育むとよいでしょう。また、必要に応じて専門機関につなぐことも役割のひとつです。 子どものことばへの興味を自然に育み、話すことを嫌いにさせない対応を心がけましょう。 |
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滑舌が気になる子を見る視点 |
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\まずは確認/ 発音の発達段階は? 1〜2歳頃 マ行・パ行・バ行・ワ・ン 2〜3歳頃 ア行(母音)・タ行(ツ以外)・ ダ行(ヅ以外)・ヤ行 3〜4歳頃 カ行・ガ行・シャ行・ジャ行 ・チャ行・ナ行・ハ行 4〜5歳頃 サ行・ザ行・ヅ・ラ行 5歳後半〜6歳頃 ツ |
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口腔器官も体の一部なので、発音の発達には順序があります。最近は子どもの滑舌を早期から気にする傾向がありますが、実は年齢相応であることが多いので、表で確認を。 | |
【体の発達は?】 体の発達は大きいところから小さいところへ進みます。まずは走る、跳ぶなどの粗大運動ができるか。その後、絵を描く、はしを使うなどの微細運動に目を向けましょう。 |
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【口の動きは?】 聞き取りやすく話すには、口周辺の筋肉や舌の細かい動きが必要です。食べこぼしは多いか、よだれは垂れているか、にらめっこができるかなど、口の動きに着目しましょう。 |
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【音韻意識は?】 音韻意識とは、単語が音の単位でできていることに気づくこと。1音ずつの認識ができていないと発音が不明瞭になります。 |
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教えてくれた人/ 言語聴覚士 田中春野 イラスト/妹尾香里 取材・文/オフィス朔 |