行事づくりの視点とは
「行事が苦手」といわれる子がいます。しかし、その苦手さは、その子の特性だけが問題なのでしょうか?保育の原点に立ち返り、行事のあり方を見つめ直すことで、「行事が苦手」といわれる子は少なくなるかもしれません。園行事とはなにか、一緒に考えてみませんか? | |
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1 「こなすこと」「動かすこと」を行事の目的にしない 行事の準備に追われると、気持ちにゆとりがなくなり、行事をこなすことが最重要課題になってしまいます。そうなると、子ども一人ひとりの気持ちに寄り添う余裕もなくなり、子どもを置いてけぼりにした「やらせる行事」に。子どものための行事にするには、保育者の気持ちのゆとりも大切です。 |
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2 「毎年やっている」に流されない。変えていく力も必要 園の伝統や文化も大切です。しかし、「毎年このやり方だから」で思考を止めてしまっては、よりよい行事を目指すことは難しくなります。例年通りの行事が最善とは限りません。保育の原点はなにかを常に考え、柔軟に行事を変えていくことも必要です。 |
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3 参加の形は十人十色。その子の居場所を保証して 行事をする上で、保育者が既存の形式や方法に固執し過ぎると、そこに乗れない子はつらい思いをします。見ているだけでも心の中では参加している子もいます。それを認めてくれる保育者の存在が、その子の居場所になります。すべての子が安心して行事に参加できる方法を探りましょう。 |
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4 「行事のなにを大事にしているか」園の考えを保護者に伝える 保護者の要望や期待もあり、長年続けてきた行事のスタイルは変えにくい、という声も耳にします。しかし、園が保育の中で行事をどう位置づけているか、行事のなにを、子どものどんな姿を見てほしいかをおたよりや保護者会などを通じてくり返し丁寧に伝え、理解を得る努力も必要です。 |
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5 子どもと同様、保育者一人ひとりの声に耳を傾ける 若い保育者のフレッシュな考えは、保育を変える原動力に。園の舵取りをする園長や主任保育者は、若い保育者と同じ立場で子どもの話ができることが大切。一緒に保育に入り、よい保育を必ず2点見つけてほめるなど積極的にかかわり、日ごろから、若い保育者が意見を言いやすい環境をつくりましょう。 |
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取材協力/双恵幼稚園(埼玉県)、のはら幼稚園(埼玉県) イラスト/スズキトシエ 取材・文/森 麻子 |