“ちょっと気になる”から始まる発達支援
0・1・2歳の発達支援は早期からの正しい理解と支援を
早期の“気づき”と正しい“理解”が発達支援の第一歩
発達障がいは、生まれつきの脳の機能障がいによって、発達に極端なアンバランスが生じる状態です。先天性とはいえ、生後すぐに発達障がいと診断されることはなく、成長とともに、生活のなかでさまざまな困難が生じるようになることで、発達障がいだとわかることが大半です。幼稚園や保育園で集団生活に入ると、ほかの子との違いから、周囲のおとなが気づくこともあります。
しかしなかには、生活に困難をもたらす特性がありながら、それが発達障がいによるものだと気づかないまま、思春期、成人期を迎えてしまうケースもあります。このような場合、本人は幼少期から、「がんばってもできない」「まわりから認めてもらえない」といった苦境に置かれるため、自己肯定感
が育ちにくく、学童期以降は情緒不安定や乱暴な行為など深刻な不適応(二次的な障がい)の状態になることも少なくありません。
発達障がいのある子どもには、できるだけ早くから、周囲がその特性に気づき、それに合ったかかわりをすることが大切です。早期から支援を始めることで、子どもが生活しやすくなるのはもちろんですが、周囲からの正しい理解と愛情で、子どもに安心感が育つというメリットもあります。また、早期支援の開始は、子どもにかかわるおとなにとっても、さまざまなメリットがあります。早い時期に発達障がいに気づき、支援を開始するメリットについて次頁で見てみましょう。
本誌では早期に気づき支援するメリットなどを詳しく解説しています。
お話/久保山茂樹(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 インクルーシブ教育システム推進センター上席総括研究員。臨床発達心理士)
取材・文/森 麻子 イラスト/かまたいくよ