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支援のアイデア

「DCD」の子との関わり方

極端に不器用、身のこなしがぎこちない。でも、どんなに練習してもなかなかうまくできない。もしかしたらそれは、イメージ通りに体を動かせない発達性協調運動症(DCD)かもしれません。正しい理解と対応を学びましょう。

2大鉄則を押さえて!
保育者が知っておきたい関わり方

運動の苦手さ、手先の不器用さのために劣等感を抱きやすいDCDの子どもたち。そんな子どもが自信をなくさず、自己肯定感を高められる支援の鉄則を押さえておきましょう。

自己肯定感を下げない関わりを

DCDの子は、極端に運動が苦手だったり、手先が不器用だったりするため、生活の様々な場面で困難さを抱えています。しかし、その不器用さの背景にDCDの特性があることは、周囲から気づかれにくいため、「ぶきっちょ」「運動音痴」とからかわれたり、「努力不足」「しつけの問題」と言われたりすることも。年齢が上がれば子ども自身が、「どうして自分はほかの子と同じようにできないんだろう」と感じる場面も増えていきます。また、DCDの子は運動嫌いで肥満になったり、書字が苦手で勉強嫌いになったりするなどの二次障害が起きやすい傾向もあります。幼少期から「どうせできない」と自信をなくしたり、「できないからやらない」とやる気を失い、様々な経験の機会をなくしたりすることのないように関わっていくことが大切です。

鉄則1 自信ややる気が失われないようにする


できないことを責めたり、否定したりしない

ほかの子にはできることが、DCDの子にできないのは、怠けているわけでも、ふざけているわけでもありません。本人も、なぜ自分だけうまくできないのかわからず困っています。できないことを責めたり、否定したりすることばや態度で、子どもの自信とやる気を奪わないようにしましょう。
こんなことばかけはNG
⚫︎「まだ終わらないの?  みんなは終わっているよ」とほかの子と比べる。
⚫︎「ほら、急いで! 早く早く」と急かす。
⚫︎「もっと頑張ればできるようになるよ」と努力や頑張りを強いる。
⚫︎「またこぼしたの!」と叱る。

鉄則2 DCDの子に合った教え方、援助の方法を知って対応する


ことばの説明だけでなく、手を添えながら教える

DCDの不器用さは、体の動かし方や力加減がわからないことで生じます。そのため手本を見せながら口頭で説明してもできるようになりません。実際に子どもの体に手を添え、一緒に体を動かすなどしながら体感としてわかるように教えましょう。
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教えてくれた人/
青山学院大学教育人間科学部教授
小児精神科医 小児科医 古荘純一
イラスト/かわべしおん
取材・文/森 麻子
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掲載されているのは

PriPriパレット 2024年10・11月号

PriPriパレット 2024年10・11月号

24,25,28,29ページに掲載

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